特集 クリニカル・リサーチはおもしろい
【プライマリ・ケアにおけるクリニカル・リサーチ】
プライマリ・ケアにおける下肢の動脈血圧測定
高橋 理
1,2
1聖路加国際病院一般内科
2聖ルカ・ライフサイエンス研究所臨床実践研究推進センター
キーワード:
末梢性閉塞性動脈硬化症
,
Ankle-Brachial index
,
尤度比
,
Bland-Altman plot法
,
下肢血圧測定法
Keyword:
末梢性閉塞性動脈硬化症
,
Ankle-Brachial index
,
尤度比
,
Bland-Altman plot法
,
下肢血圧測定法
pp.116-120
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100815
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現場からの疑問点
聴診法による末梢性閉塞性動脈硬化症の診断1)
■プライマリ・ケアにおける下肢血圧測定の意義
ドップラー装置による上肢血圧と下肢血圧の比(Ankle-Brachial index : ABI)は,末梢性動脈疾患(peripheral arterial disease : PAD)の診断に有用といわれている.通常,下肢血圧は上肢血圧より高い値を示すため,0.9より大を正常とし,ABIが0.9以下でPADと診断され,0.4以下を重症PADと分類する.
日本では欧米と異なり,末梢性動脈疾患といえば閉塞性血栓血管炎(バージャー病)が大多数であったが,高度経済成長が始まった1975年頃を境に頻度が逆転し,欧米と同じく,いわゆる末梢性閉塞性動脈硬化症が95%以上を占める.
一般住民における頻度は,米国が65歳以上の12%2),英国は55~74歳の9%3),中国は60歳以上の15%4),日本はそれらに比べ頻度は低い(5.0% : 60~79歳)5)が,生活習慣の欧米化,高齢化により有病率は今後ますます増加すると思われる.
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