特集 外科系疾患に遭遇した時
外科系診療レベルアップ
⑫下肢静脈瘤
新見 正則
1
1帝京大学医学部附属病院外科
キーワード:
潰瘍
,
色素沈着
,
ストリッピング手術
,
硬化療法
,
高位結紮術
Keyword:
潰瘍
,
色素沈着
,
ストリッピング手術
,
硬化療法
,
高位結紮術
pp.488-490
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100503
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診断
下肢静脈瘤とは,下肢の表在静脈が拡張・蛇行するもので(図1a),重症例では皮膚に潰瘍を生じるまで悪化します(図1b).しかし,通常は進行も遅く,命に関わる病気でもないために,医療従事者を含めて関心が薄く,正確な知識も少なく,多くの患者さんが無処置のまま放置されているのが現状です.下肢の静脈血は筋肉の収縮に伴うポンプ作用と静脈内の弁によって,心臓に戻っていきます.この弁が,長年の立ち仕事・出産・遺伝的要因などで機能不全となったり,破壊されて,静脈の逆流が生じ,その結果,静脈が拡張・蛇行するのです.静脈血のうっ滞は,足のだるさの原因となり,その後,皮膚の色素沈着や潰瘍を生じます.
下肢静脈瘤のキーポイントは,皮膚の色素沈着や潰瘍を生じる以前では,患者さんを含めて誰でも診断が可能です.太く拡張した静脈がるいるいと下肢に見られる状態です(図1a).ところが,この状態を放置して皮膚の色素沈着や潰瘍を生じると,皮膚が硬くなり,静脈瘤はこの硬化した皮膚の下に隠れて,簡単には見られなくなります(図1b).患者さんは静脈瘤は自然治癒し,新しい病気が生じたと思っている場合も多々あります.くれぐれも中等症のうちに,適切なアドバイスをしてください.「あなたの足は下肢静脈瘤という病気で,放置すると色素沈着や皮膚潰瘍を引き起こします.血管外科を受診されるか,弾性ストッキングを着用してください」と.
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