画像診断
診断・治療効果判定にMRI検査が有用であった特発性後腹膜線維症の1例
妻谷 憲一
1
,
安川 元信
1
,
三馬 省二
2
1奈良国保中央病院泌尿器科
2奈良県立奈良病院泌尿器科
キーワード:
後腹膜線維症
,
MRI検査
Keyword:
後腹膜線維症
,
MRI検査
pp.777-780
発行日 1997年9月20日
Published Date 1997/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904415
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患者 52歳,女性。
主訴 間欠的腹痛。
既往歴・家族歴 特記すべきことなし。薬剤の長期服用歴なし。
現病歴 1994年12月,間欠的腹痛のため近医を受診した。消化管透視では異常は認められなかったが,腹部超音波検査にて両側水腎症を指摘されたため,当科を紹介され入院した。
入院時現症 体格,栄養は中等度。血圧132/98mmHg。胸腹部の理学的所見に異常は認められず,浮腫も認められなかった。
入院時検査成績 末梢血では異常は認められなかったが,血沈1時間値は130mmと亢進し,CRPは5.5 ng/mlと上昇していた。腫瘍マーカーは基準値範囲内で,尿所見に異常は認められなかった。
臨床経過 諸検査の結果,後腹膜線維症と診断された。両側DJカテーテル留置の上,pred-nisolone 20 mg/日,柴苓湯9g/日の経口投与を開始した。Prednisoloneは2週間ごとに漸減した。1か月後のMRI検査にて仙椎前面の線維性変化の軽度縮小が認められ,右DJカテーテルを抜去した。約3か月後に肝機能障害が出現したため内服を中止し,無治療で経過観察を行った。8か月後のMRI検査にて線維性変化の縮小が認められたため,左DJカテーテルを抜去した。
以後現在まで,水腎症の再発や後腹膜線維症の再燃は認められていない。
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