増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
D.開腹的手術
5.膀胱の手術
根治的膀胱全摘除術
小松 秀樹
1
,
前澤 浩明
2
Hideki Komatsu
1
1虎の門病院泌尿器科
2山梨医科大学泌尿器科
pp.136-141
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903202
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1 はじめに
数年前に膀胱全摘除術の成績を調べていて,過去の膀胱全摘除術の手術死亡率の高さに驚いたことがある。Richie1)によれば,1950年代から1960年代,合衆国では膀胱全摘除術の手術死亡率は実に25〜60%もの高さであったという。1960年頃には論文発表でみる限り,膀胱全摘除術の手術死亡率は15〜20%まで低下していた2)はずであるが,現実には60%もの患者が周術期に死亡するような施設があったらしい。
1980年以後の比較的大きな施設からの発表では,膀胱癌の手術死亡率は2〜4%,合併症は20〜50%に落ち着いている3)。静脈栄養がこの手術死亡率の低下に大きく寄与したと推測している。ただし,これは世界的に有名な施設の成績である。コンピュータの検索によれば,東欧や南欧の一部では今なお手術死亡率は10%を超えている。
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