増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅹ.メディカルエッセイ
診療行為の第三段階
本間 之夫
1
1東京大学医学部泌尿器科
pp.184
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902919
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今回の特集は外来診療なので,われわれが日頃行っているところの診療行為について愚考してみたい。
およそ何らかの意識された目的を有する行動を起こす場合には,(1)何がしかの現状分析があって,(2)その対応策に関する利益と損失が計算されて,(3)その他の様々な要因も作用して行動内容が決断され,かくて(4)その実行がなされる。しかし,このようにプロットされた行動であっても,もちろん万事が思うとおりにいくわけではない。その理由として,第一段階の現状分析の精度は当てにならず(それでも,他の段階に比べればまだ高いほうだろうが),第二段階の予想は情報が不足で仮定ばかりとなり,それ故にかそれ故にでないか,第三段階の決断には実体の不明な要因が入り込み,必ずしも第二段階で推奨された内容にはならず(ときにはまったく正反対のことにすらなってしまう),そして第四段階の実行の際にも,予期せぬことが起こったり,何か魔が差したりして思わぬ失敗をしてしまう。
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