交見室
「尿管ステントを留置しBCG療法を施行した膀胱および両側上部尿路上皮内癌」を読んで
国富 公人
1
1倉敷成人病センター泌尿器科
pp.1021
発行日 1999年11月20日
Published Date 1999/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902799
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伊藤 聡先生の論文「尿管ステントを留置しBCG療法を施行した膀胱および両側上部尿路上皮内癌」(臨泌53:717-719,1999)を読んで,改めて上部尿路CISの診断の難しさを感じました。この症例は,TUR-Bt時の膀胱多部位生検陽性(10か所中8か所),両側尿管カテーテル尿細胞診class Vの結果から,膀胱および両側上部尿路CISと診断され,両側尿管ステントを留置の上BCG膀胱内注入を施行されています。
筆者も,同様に膀胱刺激症状で来院し自排尿細胞診class V,膀胱多部位生検でCIS多発,両側分腎尿細胞診class Vの2症例を経験しています。70歳,男性(1994年7月)と76歳,女性(1998年4月)です。前者は膀胱生検時の分腎尿で両側ともclass Vでした。後者も膀胱生検時の分腎尿で両側class V,4日後の分腎尿再検でも両側class V,3度目は腎盂,中部・下部尿管と片方3か所ずつ調べましたが,右は中部で,左は腎盂でclass Vが出ました。膀胱および両側上部尿路CISと診断したいところですが,まず膀胱にBCGを注入してみました。すると前者はBCG40mg週1回施行の5回終了後に,後者もBCG80mg週1回施行の3回終了後に自排尿の細胞診自体がclass II以下となり,その後も尿細胞診は陽性になっておりません。
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