交見室
慢性前立腺炎について
西村 泰司
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.446
発行日 1985年5月20日
Published Date 1985/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204053
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「慢性前立腺炎について」との近森正昭先生の「交見室」(臨泌39巻4号)への御投稿に対し発言の機会を与えられました.近森先生のような考え方の先生も多いと思いますので説明の機会を得,幸甚に存じております。
要するに論点は前立腺液中の白血球の増加をすべて病的と考えるか,いわゆる"正常"でもありうるか,にあるといえましよう。私は10年前より前立腺炎の勉強をしはじめたばかりですが,17年前の臨泌に掲載されたパネルディスカッションを含め諸先輩がなされた数々の研究で大変勉強させて頂き,そのパネリストの方に直接電話で御教授賜つたこともあります。現在は上記論点解明の手がかりとしてマクロファージの研究をし(Br.J.Urol.,52;381, 1980,日泌尿会誌,72;785,1981,Urology,18;255,1981に掲載),他の炎症のある組織と同様に前立腺液中のマクロファージも活性化されspreadingするのを観察しておりますが(AUA annval meeting program p 298,1983),研究の結果得られたものは微々たるものであります。だからといつて「1歩も2歩も考え方が後退している」とは考えておりません。
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