特集 どうする! 前立腺癌―多彩な治療薬をどう上手く使うか
企画にあたって
どうする! 前立腺癌―多彩な治療薬をどう上手く使うか
上村 博司
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器・腎移植科
pp.847
発行日 2023年10月20日
Published Date 2023/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207931
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前立腺癌治療で薬物療法が必要になるのは進行がんが中心であり,転移を有するか,あるいは転移や浸潤を起こしやすいがんが対象である.治療の中心となるのは,アンドロゲンを抑制かつその作用を抑えるホルモン療法であるが,近年になりさまざまな治療薬が開発されてきた.例えば,転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)を対象とした新規ホルモン薬が,アンドロゲン遮断療法(ADT)と比べて生存期間の延長を示すエビデンスが次々と発表され,国内でも広く使われている.次の開発段階として,新規ホルモン薬やドセタキセルなどの治療薬が,転移を有する去勢感受性前立腺癌(mCSPC)に使用され,いわゆるup-front治療が生存期間延長のベネフィットを示してきた.さらに,ADT+新規ホルモン薬の2剤だけでなくさらにドセタキセルを併用したtriplet治療の有用性も明らかとなった.一方,転移がないCRPCに対しても新規ホルモン薬の有用性が示されている.
mCRPC治療に観点を移すと,ファーストライン治療後に満足のいく効果を示す治療が得られていないのが現状である.新規ホルモン薬と作用機序の異なるタキサン系抗がん薬や,BRCA1/2遺伝子異常に使用できるPARP阻害薬,骨転移治療薬のRa-223などが使用できるが,その治療シークエンスはいまだ混沌としている.
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