特集 深淵なる「夜間頻尿」の世界
企画にあたって
平山 暁秀
1
1近畿大学医学部奈良病院泌尿器科
pp.97
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206180
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世界的に類を見ない超高齢社会を迎えたわが国では,高齢者のQOLを著しく低下させる排尿障害への対策が喫緊を要する課題であり,夜間頻尿を訴える高齢者は,ほかの排尿障害のなかでも多いと報告されています.2002年に報告された国際尿禁制学会の夜間頻尿の定義では,「夜間就眠時,排尿のために1回以上起きなければならない愁訴」とされており,愁訴をもたない者には治療介入の必要性はないように思われます.しかし,夜間頻尿自体が骨折,うつ症状,耐糖能異常,認知機能障害などと関連性があるばかりでなく,生命予後に対する独立影響因子であることも明らかになり,夜間排尿回数が2回以上の方には何らかの治療介入が必要と考えられます.
夜間頻尿の原因は多岐にわたり,その原因が多元的であることもあります.原因を知らずして,適切な治療は行うことは困難であり,無謀ともいえます.より適切な診療を行うためには,知識の蓄積は大切なことと考えます.2015年5月号の本誌において,小島祥敬教授(福島県立医科大学)の企画により夜間頻尿が特集され,診療のうえでおおいに役立っているものと思われますが,2年以上が経過し,PubMed上「2015年以降,nocturia, 65+years, English」の条件で検索すると148本の論文が報告されており(2017年12月現在),新たなエビデンスの集積もなされています.そこで今回は,本分野のスペシャリストの11名の先生方に従来の報告をふまえ,2015年以降に報告されたエビデンスを加えて,執筆していただきました.本特集が諸先生方の診療の手助けになり,患者さんの福音となることを願います.
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