増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
6 内分泌疾患
褐色細胞腫
立木 美香
1
,
馬越 洋宜
1
,
成瀬 光栄
1
1京都医療センター内分泌・代謝内科
pp.124-126
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205614
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疾患の概要
褐色細胞腫は副腎髄質,傍神経節細胞に発生するカテコールアミン産生腫瘍で,後者は一般にパラガングリオーマと呼ばれる.通常,血中,尿中カテコールアミンと代謝産物の増加および画像検査による腫瘍の確認により診断は容易である.高血圧の治療はαブロッカーが第一選択である.約90%は良性で,原因となる腫瘍摘出により完治する.一方,診断の遅れは,カテコールアミン過剰に伴う高血圧や糖尿病などの種々の代謝異常,不整脈,たこつぼ型心筋症などを合併し,時に高血圧クリーゼを呈することがある.クリーゼを発症してはじめて褐色細胞腫と診断される症例もあり,診断・治療の遅れで死に至ることもある.さらに,約10%は局所浸潤や遠隔転移を伴う悪性例で,治療に難渋することが多い.動悸・発汗・頭痛などの多彩な症状を呈する高血圧,発作性・動揺性の高血圧,副腎偶発腫,高血圧クリーゼなどを認めた場合は,褐色細胞腫を念頭に置いて鑑別診断を進める必要がある.わが国では厚労省難治性疾患克服研究事業による研究班により,良性および悪性の診療アルゴリズム(案)が作成されている.
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