増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
2 下部尿路機能障害
低活動膀胱
西井 久枝
1
,
藤本 直浩
1
1産業医科大学医学部泌尿器科学
pp.69-71
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205594
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疾患の概要
国際禁制学会標準化委員会レポートでは,排尿筋低活動あるいは排尿筋無収縮のみ定義されており,低活動膀胱の定義は現在のところ確立されていない.膀胱内圧尿流検査に基づいて排尿筋低活動は「排尿筋収縮力の低下あるいは収縮時間の短縮で,排尿時間が延長したり,正常時間内に膀胱内の尿を完全に排出できない」と定義されている.しかし,低活動膀胱は排尿筋障害に限定されるものではなく,求心性知覚神経,中枢神経,遠心性運動神経および排尿筋での障害が複合的に低活動膀胱に関与すると考えられている.
低活動膀胱の定義や診断基準が確立されていないため,正確な有病率は不明であるが,本邦での40歳以上の男女を対象とした疫学調査では,膀胱出口部閉塞の関与を含むものの,尿勢低下は男女ともに加齢とともに上昇すると報告されている.一方,尿流動態検査による検討では,排尿筋低活動は男性で40%前後,女性で15%前後に存在すると報告されている.
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