増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
2 下部尿路機能障害
夜間頻尿
竹澤 健太郎
1
,
木内 寛
1
,
野々村 祝夫
1
1大阪大学大学院医学系研究科泌尿器科
pp.61-64
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205592
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疾患の概要
夜間頻尿は「夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴え」と定義されている.さまざまな大規模疫学調査において,夜間頻尿は高齢者を悩ませる代表的な下部尿路症状であり,QOLの低下に強く関与することが示されている.さらに,夜間の転倒や骨折の原因となり,生命予後と関連する可能性も示唆されている.2002年にわが国で行われた40歳以上を対象とした疫学調査でも,夜間頻尿は最も頻度が高く,最も問題となる症状であった.夜間頻尿の頻度は加齢とともに急上昇することから,高齢化とともにその有病率が急増していると予想される.
夜間頻尿は単なる泌尿器科疾患ではなく,むしろ内科的疾患との関連が強い疾患である.前立腺肥大症や過活動膀胱が夜間頻尿の原因となるのはもちろんであるが,多くの疫学研究によって,加齢や糖尿病,高血圧,心不全,不眠症などの内科的疾患が夜間頻尿と強く関連することが明らかにされてきた.例えば,糖尿病に伴う高血糖,加齢や高血圧に伴う慢性腎臓病は多尿の原因となり,加齢や不眠症,うつ病は睡眠障害に伴う夜間頻尿の原因となると考えられている.夜間頻尿の診療には幅広い知識と,症例によっては内分泌内科や循環器内科,精神科などの専門医へ適切に紹介するというプライマリ・ケア能力が求められる.
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