増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
1 尿路・性器の感染症
尿路感染症
急性前立腺炎
富田 祐司
1
,
近藤 幸尋
2
1日本医科大学武蔵小杉病院泌尿器科
2日本医科大学医学部泌尿器科学教室
pp.22-24
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205579
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疾患の概要
急性前立腺炎は腸内細菌を主とした前立腺の感染症である.原因菌の約60%が大腸菌,20%がほかのグラム陰性桿菌,約20%がグラム陽性球菌と報告されている.発熱・悪寒・倦怠感などの全身症状と,排尿痛・排尿困難・尿意切迫感・頻尿・会陰部痛などの局所症状がみられる.尿検査では膿尿と細菌尿を認め,直腸診で前立腺の圧痛・熱感・腫脹を認める.前立腺マッサージは敗血症を誘発するため禁忌である.
治療薬の選択のため,尿培養・薬剤感受性試験は行うべきであり,全身症状が強く敗血症を疑う症例では血液培養も行う.急性前立腺炎の1〜2%で前立腺膿瘍を併発し,経直腸的前立腺超音波検査が有用な検査となる.膿瘍を認めた場合には外科的ドレナージが必要になる.尿閉を来した場合には膀胱瘻造設が望ましいが,造設困難な場合には尿道カテーテルを留置する.
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