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交見室
村上 信乃
1
,
早川 正道
2
1旭中央病院泌尿器科
2防衛医大泌尿器科
pp.1225
発行日 1979年12月20日
Published Date 1979/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202875
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- 文献概要
いわゆる特発性腎出血について
私達の論文「いわゆる特発性腎出血について」に対する三軒久義先生の御質問(33巻10号交見室)にお答えします。
私達の"特発性腎出血"の診断基準は確かに御指摘の通り甘いものと考えます。しかし,それは本論文の主旨である「従来,一般に行なわれている程度の診断基準では,糸球体病変を見落とす危険性がある」という点をはつきりさせるため,あえて一般に行なわれている甘い基準を採つたものです。今回の対象36例は論文中でも述べている通り,頑固な血尿が続いた例で,全例一度は肉眼的血尿の時期を有しており,半数以上は膀胱鏡的に出血側を確認しています。出血側を確認できた例とできなかつた例との間に腎生検所見で差を認めておりません。また内科的腎疾患の可能性を除外するため,外来検査にて尿蛋白の多いものや,血液学的,あるいは血清学的に異常のあるものは内科に転科させており,本対象に含まれておりません。したがつて,御質問のIgA値の高かつたものは本対象に1例も含まれておりません。なおIgA腎症では血清IgA値が必ずしも高いとは限らないと報告されているようですが,私達の成績でも,正常なIgA値のものにあのように多数のIgA腎症が存在したことは,その事実を裏づけるものと考えます。
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