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交見室
田崎 寛
1
,
河合 恒雄
2
1慶大泌尿器科
2癌研付属病院泌尿器科
pp.194-195
発行日 1979年2月20日
Published Date 1979/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202705
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- 文献概要
回腸導管造設の手術手技について
本誌32巻12号のウン・シータン氏らの回腸導管とstoma造設の工夫を読ませていただき,二,三感ずるところがあつたので述べてみたい。Brickerが1950年,この術式を発表して以来米国を中心に広く普及し,日本でも最近多くの施設で行なわれるようになつた。その背景には腸管を扱うという一般外科の手術手技と術後管理点,膀胱全摘を同時に行なう場合のriskが主な問題であつた。これを克服していかに安全にこの手術を行なうか,数々の工夫が発表されてきており,この著者らの努力もその1つとして高く評価したい。この論文は極めて簡潔に要点を述べており,とくに第2図では透光下に上腸間膜動脈の最終分枝をみながら,回腸のsegementを作る様が見事に表現されている。回腸のsegementを作る段階で,腸間膜を長くする工夫は大変結構な着想なのだが,実際には虫垂炎後の癒着とか血管のvariationのために必ずこのようにできるとは限らないと思う。
著者はS-T tubeを尿管に挿入し,その下方は尿管腸吻合部を通してstomaから集尿bagにつなぎ,上方はurcterotomyを行なっているが,私の経験ではこれはまつたく必要ないと考える。私はtubeを挿入する場合は,すでに尿管皮膚瘻術を行なつている症例を回腸導管造設に変更しようとする場合に限つている。
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