Japanese
English
手術手技
下大静脈後尿管の診断と治療
Retrocaval Ureter: Diagnosis and Surgical Treatment
佐藤 昭太郎
1
,
坂田 安之輔
1
Shotaro Sato
1
,
Yasunosuke Sakata
1
1新潟大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Niigata University School of Medicine
pp.119-125
発行日 1971年2月20日
Published Date 1971/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201111
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Ⅰ.下大静脈後尿管について
胎生初期に,3対の主要静脈(postcardinal vein,subcardinal veinおよびsupracardinal vein)が左右に発生し,その吻合枝によつて,いわゆる尿管周囲静脈環が左右両側に形成される。腎,尿管は,この静脈環の中を通過して上行し,第8週頃に本来の腎の位置に達する。正常の発生過程では,supracardinal veinのみが残存して下大静脈を形成し,他の2対の主要静脈は萎縮してしまう。この発生過程に異常が起こり,静脈環を形成する前面部のpostcardinal veinが萎縮しないで,下大静脈を形成した場合には,尿管が下大静脈の背面を廻る形となり,下大静脈後尿管(retrocaval ureter)と呼ばれている。尿管の奇形というよりは静脈の奇形であるが,実際には尿管の下大静脈との交叉部より上部に尿停滞が起こり,水腎症,水尿管症に基づく種々の尿路系の症状が出現する。
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