随筆
診療格言
田村 一
1
1慶応義塾大学
pp.561-562
発行日 1968年7月20日
Published Date 1968/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200455
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診療格言という著書が昭和5年8月20日に春秋社から出版されている。最近の新書型ぐらいの大きさで,本文220頁,索引22頁である。この著者は奇しくも九大泌尿器科の初代教授であつた故高木繁先生である。従つてその内扉には診療格言の上に皮膚科泌尿器科と銘打つてある。
その序言に「真理は何処いかなる国に於ても真理である。格言とか箴言とか云うものは真理を簡明直截に言い現はしたものであるから,若しそれが賢哲の口を籍りて出たものならば,洋の東西を問はず,時の古今を論ぜず,万世不易の金言として服膺さるるのは当然である。然し茲に云ふ医学上の格言なるものは目下のところ定説と認められて居ると云うに過ぎないから,いつ何時匡正され,破壊されるか判らない。」と診療格言と題したことについて弁明されていられる。更に書きつらねた格言は米国のThe Urologic andCutaneous Reviewに連載されたものから適切穏当と思われるものを撰んで邦訳し,それに著者自身の体験から得たものを織込んだことを述べ,なお本邦医学は依然として独逸流に偏する憾みがあるので,採長補短の意味で米国医学をも玩味したい意図もあることをつけ加えていられる。
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