Focus 泌尿器科の未来を拓くバイオ技術
企画にあたって
東 治人
1
1大阪医科大学泌尿器科
pp.119
発行日 2013年2月20日
Published Date 2013/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103017
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このたび,郡先生からいただいた「泌尿器科の未来を拓くバイオ技術」というテーマは,現代と未来をつなぐ極めて画期的な企画であると思われます。罹患率上昇の一途を続ける前立腺癌に対する早期診断と治療,あるいは,次々と登場する新規分子標的薬によって少しずつでも予後の改善がみられる腎癌など,まさに,現代,そして近未来におけるバイオ技術の発達は医療の発展に直接に結びついているといっても過言ではありません。今回の企画にあたり,泌尿器科領域におけるバイオ技術を用いた研究成果について,2名の泌尿器科の先生方にご執筆をお願いいたしました。
大阪医大の稲元先生には,オーファンリセプターの1つである神経成長因子IBファミリーの転写調節による膀胱癌治療という,新しい概念に沿った遺伝子治療の可能性について,そして,大阪大学の辻村先生には脊髄損傷による排尿障害に対する嗅粘膜移植の治療効果について,それぞれご執筆いただきました。泌尿器科領域のみならず,全疾患領域における最も大きな命題である癌治療において,これまでの遺伝子治療の問題点を克服する次世代の遺伝子治療の発展と臨床応用への可能性を追求し,また,「脊髄損傷に伴う排尿障害」という泌尿器科領域の永年の命題に対して,最新の再生医療技術を用いた新規治療の開発に挑戦するなど,それぞれの先生方における発見と苦悩,そして,現時点における研究の進捗状況と将来展望をリアルタイムに論及していただきました。本稿を契機に未来の先端医療の開発と発展に興味を抱く若き先生が1人でも増えれば幸甚です。
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