書評
「泌尿器科レジデントマニュアル」―郡 健二郎 監修/佐々木昌一,戸澤啓一,丸山哲史 編
大家 基嗣
1
1慶應義塾大学・泌尿器科
pp.721
発行日 2011年9月20日
Published Date 2011/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102484
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本書の監修者である郡 健二郎教授(名古屋市立大学大学院腎・泌尿器科学分野)とは毎月『臨床泌尿器科』の編集会議でご一緒させていただいている。論文の審査において先生は一貫して明解な論理と広い視野で論文の意義を判断し,どうしたら内容がよりよく読者に伝わるかを常に考えておられる。日常臨床での先生の緻密さと教室員に対する高い精神性を伴った教育を私は先生のお言葉から常日頃感じ取っている。
レジデントマニュアルは,ともすれば各種ガイドラインから拝借した標準的治療の羅列となる可能性がある。それでも,読者は気軽に参照して納得し,当初の目的は達成されるからそれで十分ではあるが,できれば理解した知識が血となり肉となってほしい。本書では要点がきちんと整理され,実践的であると同時に,執筆者の経験を根拠にした考え方やこだわりが垣間見え,レジデントマニュアルとしての範疇を超えたものになっている。あたかも郡教授を指揮者とする1つの交響楽が奏でられているかのようである。「序」で「医療をするにあたって大切なことは独自の考えをしっかり持つことだと思う」といみじくも述べられているように,私達は観察力,思考力,洞察力に磨きをかけて医師として成長していかねばならない。言葉を変えると,本書の帯に書かれているように,泌尿器科の星をめざすということである。輝くからこそ「星」であり,職業を通して社会に貢献し,キラリと光る臨床の能力は周囲から見るとまさに輝く星であろう。
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