書評
「医療経済学で読み解く医療のモンダイ」―真野俊樹 著
福田 秀人
1
1立教大学大学院・危機管理学
pp.137
発行日 2009年2月20日
Published Date 2009/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101653
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コーネル大学医学部留学中に経済を学ぶことの大事さを痛感し,京都大学で経済学博士号を得た医師であり,また医療経済学者でもある筆者は,出来高払いの保険制度は,医師と患者にとっての天国をもたらすものと説く。患者のために高度な診療をするほど,病院や医師に多額の報酬が支払われるからである。しかし,これでは医療費に歯止めがかからず,また,医師と患者の間の情報・知識の格差が,過剰な診療を誘発する。
さらに,高齢化社会の到来による患者増で,医療費は急増していくとの政府予想と財政赤字の深刻化を受けて,医療費の抑制が重要な政策課題となり,包括払い制度,在院日数の短縮,病床数削減,診療報酬引き下げ,ジェネリック薬品の奨励,レセプトの審査強化などが推進されるようになった。延命治療も問題視されるようになった。
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