特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■腎の手術
【腎部分切除術】
70.腎部分切除術を施行した患者です。術後の画像診断により創部内に尿が貯留していることがわかりました。どのように対処すればよいでしょうか。
白木 良一
1
1藤田保健衛生大学医学部腎泌尿器外科
pp.216-218
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101147
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手術以外に有効な治療法のない腎癌には,腎摘除術が最も有効かつ根治的な治療法であり,標準治療として位置づけられてきた。しかし,近年の画像診断の進歩に伴いその生物学的特性が明らかとなるにつれ,main tumorが小さい段階ではdaughter tumorを合併する多発性腎細胞癌症例の頻度は低く,また偶然発見される無症候性の小さな腎細胞癌の多くはslow growingにて予後が良好で,生物学的悪性度は低いことが知られるようになってきた。これらのことより,小さな無症候性腎癌に対しては対側が健常な症例(elective case)にも患側腎温存部分切除術が施行され,その結果は根治的腎摘除術とほぼ同等な成績であると報告されている1)。
開腹による腎部分切除術後の合併症として,尿漏(ユリノーマ)形成は1.4~17.4%2~4)に認められると諸家により報告されている。部分切除部に留置したドレーンより術後継続的な尿の漏出が認められることもあるが,本例のように数日後に画像診断で発見されるケースもあり,局所腫瘍再発の除外も含め,術後の定期的な画像診断が必要である。尿漏の形成は,開腹手術よりも低侵襲治療である腹腔鏡下腎部分切除術3),ラジオ波凝固術5,6),cryosurgery7)の術後により多く認められる傾向にある。
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