特集 前立腺疾患のすべて
Ⅱ 前立腺肥大症
治療法の選択と実際
開放手術のテクニックとコツ
前立腺の開放手術をめぐるcontroversy
噛砂 良一
1
,
長田 幸夫
1
Ryoichi Hamasuna
1
,
Yukio Osada
1
1宮崎医科大学泌尿器科
pp.140-143
発行日 2003年4月5日
Published Date 2003/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100843
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1 はじめに
近年の前立腺肥大症に対する治療は,QOL改善を目的としたα-ブロッカーを中心とする薬物療法がfirst choiceである。さらに,これらの内科的治療の無効例や,効果が不十分な症例に対して手術療法が行われている。手術療法は,開放手術から経尿道的手術(TUR-P)への変遷をみた。加えてレーザー,高温度治療,HIFU,ラジオ波といった低侵襲治療が試みられており,いまやこれらの新しい治療法もほぼその地位を確立したといってよい。また,前立腺癌に目を転じると,前立腺全摘術にも鏡下手術の波が押しよせ,各医療機関でその症例の積み重ねがなされている。さらに,3Dカメラを駆使しての,遠隔操作によるロボット手術も試みられている。これらは近年の技術の発展,特に光学視管の発展によるところが大きく,今後もさらに内視鏡下手術が中心となっていくであろうことは間違いない。
これらに伴い,もはやopen prostatectomyが前立腺肥大症の治療の中核を占めることはないというのは,泌尿器科医の一致した意見であろうと考えられる。極論を言うなら,現在のわが国の泌尿器科医療において,いかなる前立腺肥大症の外科治療でopen prostatectomyをfirst choiceと考えることは,誤った治療法であるといわざるを得ない。そこで,今回はopen prostatectomyの過去を振り返り,open prostatectomyの将来を論議したいと思う。
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