異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
2.手術前の剃毛は必要か
野口 良輔
1
Ryousuke Noguchi
1
1水戸済生会総合病院泌尿器科
pp.286-287
発行日 2005年4月20日
Published Date 2005/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100310
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1 はじめに
医師,とりわけ外科医の世界では徒弟制度が根強く温存されている。すなわち,手術や術後管理については「手術の技量,経験がすべてに優先されている」といっても過言ではない。こうした慣習のなかで,SSI(surgical site infection:手術部位感染症)は一定の確率で生じ,患者,医療者側いずれにとっても大きな負担となっていた。1999年にCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によって,SSI予防ガイドライン1)が発表されたあとも,しばらくの間,抗生物質の術後長期投与,剃毛,術後の創部消毒などがなされていた。近年,医療事故が多発した社会的背景から経験論はバッシングされ,EBMという概念が注目されるに至った。EBM(evidence-based medicine)とは「科学的根拠に基づいた医療」と訳されているが,日本においても徐々に浸透し,成果が上がりつつある。
本稿では,SSI予防に対するCDCのガイドラインのなかで,剃毛の是非について紹介し,それを実践した当科での経験を報告する。
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