Japanese
English
症例報告
ダーモスコピー所見の検討を行ったmicrocystic adnexal carcinomaの1例
A case of microcystic adnexal carcinoma in the marginal part of the lower right lip;its clinical and dermoscopic findings
林 倫子
1
,
栗原 麻菜
1
,
根木 治
1
,
髙森 建二
1
,
田中 勝
2
,
安齋 眞一
3
,
須賀 康
1
Michiko HAYASHI
1
,
Mana KURIHARA
1
,
Osamu NEGI
1
,
Kenji TAKAMORI
1
,
Masaru TANAKA
2
,
Shinichi ANZAI
3
,
Yasushi SUGA
1
1順天堂大学浦安病院皮膚科
2東京女子医科大学東医療センター皮膚科
3日本医科大学武蔵小杉病院皮膚科
1Department of Dermatology, Juntendo University Urayasu Hospital, Urayasu, Japan
2Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University Medical Center East, Tokyo, Japan
3Department of Dermatology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital, Kawasaki, Japan
キーワード:
微小囊胞状付属器癌
,
ダーモスコピー
,
微小角質囊腫
,
線維性硬化性毛包上皮腫
Keyword:
微小囊胞状付属器癌
,
ダーモスコピー
,
微小角質囊腫
,
線維性硬化性毛包上皮腫
pp.53-57
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205617
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要約 60歳代,女性.10年程前から右下口唇辺縁部に小丘疹を自覚し,数か月前から増大した.既往に脂質異常症があり,黄色腫の疑いで当院を受診した.右下口唇に接して約1cm大,淡黄色調で弾性硬の結節がみられた.ダーモスコピーでは,淡黄褐色の背景に腫瘍全体にわたる黄白色調の小円形,ないし索状の構造と,周囲の線状血管が観察された.パンチ生検病理組織像では汗管に類似した小管腔の増生がみられ,核異型等は明らかではなく汗管腫が疑われた.しかし典型的な病理組織像ではないため,全切除した結果,真皮浅層には微小角質囊腫が多数みられ,汗管様構造を呈する腫瘍細胞がびまん性に増殖し,筋層間や脂肪組織まで浸潤していた.以上より,自験例を微小囊胞状付属器癌(microcystic adnexal carcinoma:MAC)と診断した.本疾患は時に汗管腫や良性毛囊系腫瘍との鑑別が困難であり,ダーモスコピーでみられた黄白色調の小円形構造は,MACに特徴的な微小角質囊腫に対応すると考えた.ダーモスコピーの所見はMACの有用な参考所見となる可能性がある.
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