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書評 —編:日本皮膚科学会—実践!皮膚病理道場2—バーチャルスライドでみる炎症性/非新生物性皮膚疾患[Web付録付]
山本 明美
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1旭川医科大学・皮膚科学
pp.830
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205535
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この本は「皮膚科専門医認定試験をこれから受験するために皮膚病理組織学の基本を短時間で身につけたい」と考えている皮膚病理ビギナーにうってつけの一冊です.編集が日本皮膚科学会ということは,個人的な意見ですが,この本の画像が専門医認定試験問題に使われる可能性があると考えます.もちろん用いられている画像はどれも病理所見がわかりやすい典型的なものばかりですから試験用としても最適なものです.
この本の最大の特徴は難易度順に疾患を分類し,容易なものから順にA,B,Cの3つのレベルで疾患がまとめられている点です.そしてそのレベルごとに中身は組織のパターン別,あるいは病因別に疾患が並んでいます.このことが初心者の学習を大いに助けると思います.なぜかというと,皮膚病理を勉強する上で障害となるのは次のような事実があるからです.すなわち多くの教本に掲載されているのは目がくらむように膨大な数の皮膚病で,しかもおのおのが疾患の形成時期,すなわち早期,最盛期,治癒期なのかによって所見が異なるときては勉強する意欲が損なわれます.その点,この本ではまずレベルAにある厳選された少数の疾患をマスターすることでいったん達成感が得られます.そして心に余裕ができたところで,次のレベルに進むことができるのです.いきなりヒマラヤの頂上をめざすのではなく,近くの小山でハイキングから始めるような感じでしょうか.
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