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書評 —著:安部 正敏—ジェネラリストのためのこれだけは押さえておきたい皮膚疾患
砂長 則明
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1群馬大学病院腫瘍センター
pp.730
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204868
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近年,専門分野に偏らず,全体的な視点から診療ができるジェネラリストのニーズが高まっている.皮膚の視診は,ジェネラリストにとって多くの情報をもたらしてくれるので,診断確定までのプロセスにおいて重要なウェイトを占める.また,皮膚病変は診察の際に必ず目に入るので,皮膚疾患の診断方法は,ジェネラリストに限らずすべての医師にとって,押さえておかなければならない重要なポイントである.
この本を読んだとき,“とにかくわかりやすい”と思ったのが第一印象である.通常の写真だけでなく,拡大写真やイラストが並べて提示されており,ビジュアルに訴える解説書となっている.また,“そういえば,これ見たことあるけど,何だろう?”と思うような皮膚疾患や,専門医への速やかな紹介が必要なケースなどがうまくまとめられている.ページの上には,頻度と緊急度が,1〜5つまでの星の数で示されており,実用的である.診断プロセスについても,“患者から聴取すべきことは?”“この症例をどう解釈する?”“検査は?”“鑑別診断は?”“治療は?”と,問い掛け方式で項目ごとに簡潔に記されており,短時間でポイントがつかめるように構成されている.さらに,患者への説明方法や,皮膚科専門医へのコンサルトのこつが触れられているのもうれしい.末尾には,「TIPS!」として,全体のまとめが箇条書きで示され締めくくられている.一つの皮膚疾患に対して,解説が見開き2ページにまとめられているので,ページを開けばすぐに調べることができる.つまり,“これだけは押さえておきたい皮膚疾患”が,実にコンパクトにまとまっているのである!
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