Japanese
English
原著
植皮部に皮疹の再発を認めた家族性良性慢性天疱瘡—電子顕微鏡的観察
A Case of Familial Benign Chronic Pemphigus Developed Lesions on the Skin Graft Region: Electron Microscopic Study
河井 一浩
1
,
伊藤 雅章
1
,
坂本 ふみ子
1
,
佐藤 良夫
1
Kazuhiro KAWAI
1
,
Masaaki ITO
1
,
Fumiko SAKAMOTO
1
,
Yoshio SATO
1
1新潟大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.455-460
発行日 1988年5月1日
Published Date 1988/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203895
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植皮術施行部に皮疹の再発をみた家族性良性慢性天疱瘡の52歳,男性例について,その皮疹部および無疹部の生検材料を電顕的に観察した.症例は,43歳頃より肛囲,鼠径部,臍窩,腋窩に瘙痒性皮疹を生じ,48歳時に皮疹部に分層植皮術を施行した.3年後,植皮部に皮疹が再発し,その皮疹は組織学的に表皮細胞間に棘融解性裂隙の形成をみる家族性良性慢性天疱瘡の定型的な所見を示した.電顕的には表皮細胞のデスモゾームの減少と崩壊像および張原線維の分布異常などを認めた.一方,大腿伸側の無疹部でも,光顕的には異常を認めなかったが,電顕的にデスモゾームと張原線維の分布異常が認められた.以上より,本症では,生来,表皮細胞自体に細胞骨格や細胞間接着の異常が存在し,そこに局所の環境因子が加わり,病変が出現すると推測された.
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