Japanese
English
原著
クロモミコーシスの病理組織像—とくにElimination現象について
Histopathology of Chromomycosis : Especially on the Elimination Phenomenon
岡 吉郎
1,2
,
佐藤 良夫
2
,
松尾 茂
2
,
奥田 長三郎
2
Kichiro OKA
1,2
,
Yoshio SATO
2
,
Shigeru MATSUO
2
,
Chozaburo OKUDA
2
1長岡赤十字病院皮膚科
2新潟大学医学部皮膚科学教室
1Section of Dermatology, Nagaoka Red Cross Hospital
2Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.1161-1166
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202551
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クロモミコーシスの自験6例について組織学的に検討した.真菌要素はすべてsclerotic cellで,真皮上中層に限局して存在する.真菌に対する組織反応として,まず多核白血球が数個これに接し,ついで微小膿瘍が形成されるか,あるいは多核白血球とともに巨細胞に貪食され.さらに肉芽腫形成がみられる.これらの周囲にはリンパ球浸潤が顕著で,その外側に形質細胞を主とする浸潤をみる.表皮の反応は偽癌性増殖を示し,不整な表皮突起が微小膿瘍を包むように伸長し,これを表皮内にとりこみ,ついで角層を経て微小膿瘍を排除する.このようなelimination現象は臨床的に定型的な疣状皮疹部において必ず認められた.すなわち真菌を含む微小膿瘍が経表皮性に排除される機構が本症の特徴的な疣状結痂性皮疹を形成するものであると考えた.1例において巨大な腫瘤の形成が認められたが,これは外傷と二次感染によって表皮の反応が過剰に出現したものと考えた.
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