これすぽんでんす
「免疫賦活療法の奏効した菌状息肉症の1例」を読んで/Herpes gestationisとBullous pemphigoidの近縁性について
服部 瑛
1
1群馬大学
pp.713,779
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202472
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菌状息肉症の治療に関しては,従来よりステロイド療法,X線照射あるいは化学療法等の治療が試みられて,それぞれ効果が認められている1).しかしながら一般的には長期にわたり治療を要す本症では,副作用の発現を含め多くの問題点がある.一方,最近,癌治療で免疫療法が注目されてきた.森岡氏らは「免疫賦活療法の奏効した菌状息肉症の1例」(本誌,33;149,1979)の中で,免疫療法の奏効した本症の1例を報告された.本症は,その病態に関してさまざまな論義がなされてきたが,最近はcutaneous T cell lymphomaの概念のもとに,免疫学的な方面からのデータが集積されてきている.その中で本症の病期が進むにつれ,細胞性免疫の低下を認めた報告2)や抗T細胞抗体の出現をみた報告3)があり,本症の免疫異常を推定させるとともに,本症での免疫療法の意義が生じてくる.氏の症例においてimmu—nopotentiatorといわれているOK−432,レバミゾールの治療で,リンパ球数の増加,PHA刺激によるリンパ球幼若化反応の増強をみた事実は(論文中に具体的な数値が示されていないのが残念ですが……),本症の臨床症状の改善と合わせて興味深い.しかしながら,現在免疫療法は,特異的な免疫療法でなく,むしろ非特異的に免疫を賦活させるにすぎず,おのずからその治療法には限界があるように思われる.今後,免疫学的なパラメーターを広くとり入れて地道なデータを集積するとともに,本症での臨床効果を客観的に把握する必要があり,さらに免疫療法と他の治療法との併用も新たに検討される必要があると思われる.
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