Japanese
English
原著
Cole-Engman症候群の兄弟例
Two Cases of Siblings with Cole-Engman's Syndrome
高橋 慶子
1
,
多島 新吾
1
,
北村 啓次郎
1
Keiko TAKAHASHI
1
,
Shingo TAJIMA
1
,
Keijiro KITAMURA
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.335-341
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202048
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Cole-Engman症候群の兄弟例を報告した.兄19歳,生下時は正常であったが,生後次第に全身色素沈着が出現し,上胸部,上背部,耳介では黒褐色網状色素沈着に,円形の小脱色素斑を混ず.舌後半部には白板症様変化がみられ,趾爪はすべて縦溝を呈し,第Ⅴ趾爪は萎縮性,眼科的に色覚異常と眼球結膜の角化がみられた.
弟16歳,全身に兄と同様の色素沈着を認め,頬粘膜に白板症様変化,指趾爪に軽度の縦溝を認めた.
Cole-Engman症候群の我国における家族発生例はいまだ極めて数少なく,本邦における明らかな兄弟例としては,自験例が初めてと思われる.
またColeらは本症の組織像で,表皮細胞の異常角化を強調し,ために本症はDyskeratosis congenitaとも呼称されている.しかるにその後の報告では異常角化を認めたものはなく,自験症例1も異常角化を認めなかった.
さらに本症候群にはしばしば再生不良性貧血を伴うことが知られている.自験例でも2症例ともにpancytopeniaの傾向がみられ,今後厳重なるfollow upが必要と考えられる.
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