Japanese
English
原著
EBウィルス抗粒子抗原抗体価の著明な上昇を認めた有棘細胞癌の1例
A Case of Squamous Cell Carcinoma with Remarkable Increase of Anti-EB Virus Capsid Antigen Antibody
原田 玲子
1
,
中山 秀夫
2
,
谷口 貞子
3
Reiko HARADA
1
,
Hideo NAKAVAMA
2
,
Sadako TANIGUCHI
3
1東京電力病院皮膚科
2済生会中央病院皮膚科
3済生会中央病院ウイルス検査室
1Department of Dermatology, Tokyo Denryoku Hospital
2Department of Dermatology, Saisei-kai Chuo-Hospital
3Laboratory of Virology, Saisei-kai Chuo-Hospital
pp.79-86
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202011
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下顎部の2.0×1.6cm・隆起性,中心陥凹し,壊死物質を入れる腫瘤で,急速な増大傾向が認められ,臨床的にKeratoacanthomaが考えられたが組織学的には異型性の著明な未分化な細胞より成り,リンパ管内に腫瘍細胞の塞栓形成と思われる所見もあり,有棘細胞癌と診断した88歳,家婦例を記載した.外科的に全摘出し,約2年経過するも再発なし.本例について,腫瘍ウィルスといわれるEBウィルス・アデノウィルス・単純性疱疹ウィルスなどの抗体価の変動を検索したところ,EBウィルス抗Virus Capsid Antigenに対する抗体価が初診時160倍から16日後には2,560倍と著明に上昇しているのが見出された.EBウィルスは現在ヒトの腫瘍ウィルスの最有力候補の1つとされており,自験例は血清学的にEBウィルスの感染が示唆され,病因論的に興味深く思われた.また,腫瘍ウィルスについて文献的に考察を加えた.
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