Japanese
English
原著
爪甲における横溝形成の機序
HOW DO TRANSVERSE STRIATIONS APPEAR ON THE NALL PLATE ?
東 禹彦
1
Nobuhiko HIGASHI
1
1関西医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kansai Medical University
pp.785-790
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201799
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爪甲における横溝形成の機序を解明する目的で,各種爪疾患に出現した横溝を臨床的に観察するとともに,組織学的に検討した.臨床的には原因の如何を問わず,横溝を生じている場合には後爪廓部が後退しているのが共通した所見である.組織学的には,爪甲は矢状断面で波形を示し,凸部で厚く,凹部で薄くなつていて,横溝は爪甲表面に限局した変化でなく,爪甲全層にわたる変化により形成されることがわかる.一般に爪母に炎症が波及すれば,爪甲角質には角化異常部や浸潤細胞が取り込まれた部が認められるが,横溝を形成した爪甲にこれらの所見は必発ではない.したがつて,横溝形成に爪母の炎症はかならずしも関与する必要はない.
以上の臨床所見,組織所見および爪甲の発育方向に関する理論から,横溝は後爪廓遊離縁の位置の変動によつても形成されるという仮説が成立する.
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