Japanese
English
原著
扁平苔癬と尋常性天疱瘡の併発
LICHEN PLANUS ASSOCIATED WITH PEMPHIGUS VULGARIS
川津 智是
1
,
三木 吉治
1
Tomoyuki KAWATSU
1
,
Yoshiharu MIKI
1
1大阪大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, University of Osaka School of Medicine
pp.359-366
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201584
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扁平苔癬の経過中に尋常性天疱瘡の像を呈した,21歳男子例を報告した.初発症状は頬粘膜のびらんで,当科初診時には口唇に典型的な扁平苔癬の所見があり,陰茎にもびらん面が認められた.近医で内服中の副腎皮質ホルモン剤の漸減中止とともに,Fowler水の内服を行つたところ,粘膜疹の増悪,扁平苔癬の汎発化が起こり,薬剤の中止,入院とともに副腎皮質ホルモン療法を開始した.病勢は一時改善したが,数カ月後に再燃し,粘膜疹とともに,掌蹠に広汎な,難治性びらん面が出現し,約半年後にようやく寛解した.
病理組織像では扁平苔癬と尋常性天疱瘡の所見が交錯した.臨床検査成績では,赤沈,γ—グロブリンの高値とともに,一過性ながらLEテスト,ANF,直接Coombs反応陽性,寒冷凝集反応高値などの異常所見がみられ,血清抗表皮細胞間抗体は,発症後約4年でも40倍稀釈で陽性であつた.
本症例では扁平苔癬の増悪によつて天疱瘡が誘発されたと考えたい.
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