原著
Melanoma neurocutaneeの1例とMelanoses neurocutaneesの文献的考察
中出 毅
1
,
石川 巌
1
,
荏原 光夫
1
,
中島 利子
2
Tsuyoshi NAKAYAMA
1
,
Iwao ISHIKAWA
1
,
Mitsuo EBARA
1
,
Toshiko NAKAJIMA
2
1東邦大学医学部脳神経外科学教室
2東邦大学医学部病理学教室
1Department of Neurosurgery, Toho University School of Medicine
2Department of Pathology, Toho University School of Medicine
pp.831-835
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201370
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皮膚Melanoblastと神経周囲Melanoblastが同時に異常増殖をする状態をTouraineはMelanoma neurocutaneeと定義したが,中枢神経系に増殖したMelano-blastが悪性の傾向を有するめに,他臓器へは転移しない事が特徴的である.症例は24歳男子,全経過約1年半で死亡した.診断は表皮の色素性母斑と脳腫瘍症状であるが,他の脳腫瘍と術前に鑑別する事は困難である.他の脳腫瘍が脳水腫や痙攣初発の事は往々にしてあり,髄液の黄色調も脳室内腫瘍で普通に見られる.しかしながらそれ等に皮膚症状を加えると推定診断は易しいとも言える.
我々は約70例の内外の文献を検討したが,欧米と本邦例を比較すると年齢,性別では大きな差を認める.性別の点では本邦例が少い為に,それが有意であるか否か判定しにくい.年齢では,先天的色素の差即ち白色,黄色の差が,アミノ酸代謝異常疾患と同様に存在するのかもしれない.
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