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綜説
石灰化上皮腫—その組織由来に関する考察
CALCIFYING EPITHELIOMA:SOME OBSERVATIONS ON ITS HISTOGENESIS
久保 縁
1,2
Yukari KUBO
1,2
1新潟鉄道病院皮膚科
2新潟大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Niigata Hospital of Japanese National Railways
2Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.645-659
発行日 1973年8月1日
Published Date 1973/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201179
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石灰化上皮腫は,毛嚢起源性腫瘍として今日知られているが,それを首肯させるような病理組織学的報告はきわめて少ない.著者は本腫瘍の2例における連続標本について,明らかに毛嚢性由来であることを示す組織学的所見をえた.第1例においては好塩基性細胞が半環状に腫瘍の外廓をなし,その上端が毛嚢上皮に移行してメラニン色素がここに層状に分布している所見.第2例では定型的組織像のほかに毛嚢原基を示唆する上皮索,毛嚢への分化傾向をみせる基底細胞上皮腫様増殖像および嚢腫様増殖像,毛嚢様構造,等が多中心性にみられ,本腫瘍の発生病理の推移を示しているものと考えられる所見である.毛嚢起源説に示唆ないしは根拠を与えると思われる以上の自験例を報告するとともに,本腫瘍の組織由来説の変遷,毛嚢起源説の見解の概略,腫瘍の特性および発生病理,等について文献的考察を行なつた.
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