〈原著論文抄録〉
播種性黄色腫とその周辺,他
滝沢 清宏
1
,
富沢 尊儀
1
,
安西 喬
1
1関東労災病院皮膚科
pp.1149
発行日 1972年12月1日
Published Date 1972/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201083
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播種性黄色腫(Xanthoma disse-minatum)は,正脂血性皮膚粘膜黄色腫のまれな1型であり,その一次的病因として,肉芽腫形成性の網内系組織球浸潤が挙げられ,組織球への脂質蓄積は二次的なものとされる.この意味で,本疾患は,他の組織球浸潤性疾患,特にNevoxanthoendothelioma(N. X. E.)およびHand Schuller-Christian病(H. S. C.)と混同されることがままある.著者らは,本疾患と思われる1例を経験した機会に,その位置付けを明確にする為,文献的検討を行なつた.
本疾患を1独立疾患とするには,種々の問題はあるが,皮膚粘膜を侵す予後良好の慢性疾患で,その典型像は,N. X. E.,H. S. C. と区別され得るものと考えたい.自験例の治療にステロイドを用いて著効をおさめ得たことは,本疾患を1種の細網内皮症とする説の論拠の一つとなるかも知れない.
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