〈原著論文抄録〉
Lichen Myxedematosus,他
中安 清
1
,
高石 喜次
1
1京都府立医科大学皮膚科教室
pp.967
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201061
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60歳男子,初診46年3月19日.半年前より肝炎に罹患,45年12月中頃より項部に軽度掻痒をおぼえる皮疹に気付き,後頭,側頭さらに下顎部へと次第に拡がり,46年5月には腰部にも認めるようになつた.初診時,顔面は浮腫性に腫脹,皮膚は肥厚し,項・後頭・側頭部および下顎部では,肥厚した皮面に半米粒大の黄褐〜正常皮膚色の光沢をもつ丘疹が集籏,一部は融合して比較的境界鮮明な局面をつくつている.両手指は軽く浮腫性に腫脹しているが皮疹はない.
検査成績で肝機能障害が認められるが,甲状腺機能の異常はない.項部丘疹の組織学的所見は,HEおよびエラスチカ・ワンギーソン染色でおもな変化は真皮乳頭下層から真皮中層にみられ,結合織線維は膨化あるいは断裂,離開して空隙をつくりなんらかの物質沈着を思わせた.ムチカルミン染色によつて結合織線維および線維間に陽性物質を認め,この部分ではpH7.0およびpH4.0のトルイジンブルーでメタクロマジーを示しpH2.5では示さず,またpH3.0のアルシャンブルー液に反応し青色を示したが,pHを0.5にすると反応せず,なおこの物質は睾丸ヒアルロニダーゼにより完全に消化された.以上の染色態度よりコンドロイチン硫酸よりはむしろヒアルロン酸が主要構成成分と推測される酸性ムコ多糖類の沈着と考えられる.
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