〈原著論文抄録〉
Intestinal Behcet Syndromeについて,他
福井 清美
1
,
金子 史男
1
,
村戸 克郎
1
1北海道大学医学部皮膚科教室
pp.1010
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200871
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47歳,女子の眼病変をともなわないBehcet病において,8年にわたる経過の後,回腸末端部から上行結腸にわたつて大小多数の潰瘍ならびに腫瘤を形成し,大量下血を反復して不幸な転帰をとつた症例を報告した。
切除腸管ならびに外陰潰瘍部の病理組織学的検索は共通所見を示し,血管壁の硝子様変性,肥厚,fibrin沈着,血栓形成を基調とし,これに血管周囲性リンパ球および多核白血球の稠密な細胞浸潤が認められた。6種のbacterial antigen皮内反応においては正常人とBehcet病患者の間に有意の差を見いだした。Behcet病に共通する陽性反応はstreptococcus viridansおよびhe-molyticusであり,pneumococusでは不全型に陰性であつた。以上の所見からBehget病の多彩な症状発現の基調をなすものはアレルギー性血管病変であろうと推測した。臨床検査所見でもγA,γM,γGの増加が認められた。
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