Japanese
English
綜説
乾癬の治療
TREATMENT OF PSORIASIS VULGARIS
中村 家政
1
,
桑原 宏始
1
,
阮 豊慶
1
,
佐藤 隆久
1
,
河南 憲太郎
1
,
衛藤 延江
1
Iemasa NAKAMURA
1
,
Hiroshi KUWABARA
1
,
Hokei GEN
1
,
Takahisa SATO
1
,
Kentaro KAWAMINAMI
1
,
Nobue ETO
1
1熊本大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Kumamoto University School of Medicine
pp.204-206,209-219
発行日 1971年3月1日
Published Date 1971/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200772
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ご承知のごとく,乾癬は遺伝的背景の濃厚な疾患とされ,かつてLomholt1)がフェール諸島の住民に行なつた分析調査によると,健康な夫婦の間に生れた子供に乾癬患者が1人いると,次の世代に発現する確率は17%,また両親のいずれか一方が本症に羅患していると,その子供へは25%発生する。また両親とも罹患していると,70%が乾癬を発症するとし,本症が乾癬患者の家系にはなはだ濃厚に遺伝することを示唆しているが,過日来日したFarberら2)が乾癬患者491例について家系の罹患状況を調査した結果によると血縁9996名中5%が本症皮疹を発生しており,すでに死亡した142例を加えても6%を出なかつたという。この成績から窺うと,本症はそれほど濃厚に遺伝するとは思われない。ことにわが国においては遺伝的関係の明らかな患者はむしろまれで,当教室の最近3年間の統計的観察でも,血族結婚は97例中2,家族内発生1をみたのみで,他はすべてかかる関係が不明であつた。
このように考えると,本症は両親から乾癬を発生しやすい素質(psoriatic diathesis)を受け継いでも,これを顕症化する別の誘発因子が加わらないと顕性乾癬へは移行しないものと理解される。
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