〈原著論文抄録〉
種痘様水疱症の1例,他
菊池 礼子
1
1東京医科歯科大学皮膚科教室
pp.379
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200319
- 有料閲覧
- 文献概要
3歳男。既往歴及び家族歴に特記すべきことなし。毎年春に増悪を示す皮疹が本年は4月23日潮干狩に行つた後に出現した。即ち額,頬部,耳輪及び手背に紅暈を伴つた小豆大迄の,或るものは中心臍窩を示す水疱,血痂,僅かに中心陥凹せる瘢痕が,散在性,一部集簇性に認められる。一般検査,尿及び並且液中porphyrin検査に異常なく,僅かに結膜の充血を認める。
水疱組織所見:表皮内多房性水疱で網状変性を示し,乳頭,乳頭下層は浮腫状で,主にリンパ球様小円形細胞より成る稠密な細胞浸潤が認められ。ために表皮真皮の境界は判然としない。又真皮,皮下脂肪組織では,血管,皮膚附属器周囲に中等度同様細胞浸潤を認める。血管拡張,内皮細胞膨化及び血管壁肥厚が存在する。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.