Japanese
English
展望
Lichen Amyloidosusのアミロイドについて—アミロイドの本態並びにその成因の考察
ON AMYLOID OF LICHEN AMYLOIDOSUS
鈴木 啓之
1
,
今川 一郎
1
,
市村 久美子
1
,
横川 千秋
1
Hiroyuki SUZUKI
1
,
Ichiro IMAGAWA
1
,
Kumiko ICHIMURA
1
,
Chiaki YOKOKAWA
1
1日本大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine
pp.765-770
発行日 1967年7月1日
Published Date 1967/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200183
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アミロイド(類澱粉)なる名称は,病理組織学的に澱粉と類似した性質をもつ物質に,1854年VirchowがAmyloide Substanzと命名したのに始まる。かかる物質が皮膚に沈着を来たす場合もまま観察され,そのうちLichen amyloido-susと呼ばれる病形は皮膚科医が稀ならず経験するところである。Lichen amyloidosusは1930年Freudenthal2)により始めて唱えられ,臨床的には多彩な症状を呈し,病理組織学的には真皮,とくに乳頭層ないしはその附近に,均質無構造の所謂アミロイドが沈着するのをもつて特徴とする。森嶋ら3)は1960年以降本疾患の本邦観察例が急激に増加していることを指摘したところ,中川ら4)は全身性アミロイド症もまた本邦において1959年以後急激に増加し,その頻度は西欧諸国に接近ないし追いぬくほどになつたと報告している。中川ら4)は全身性アミロイド症の最近の増加は,日本人の食習慣の変化,すなわち高蛋白高脂肪食が大きい要因をなすのであろうと推定している。
然しながら,該物質の組成や成因等に関しては未解決の面が多く,Lichen amyloidosusの際に真皮上層に沈着するアミロイドについては,さらになお不明の点が多い。以下にLichen amyloid-osusのアミロイドの化学的組成,組織化学的性状,免疫血清学的所見,形態学的構造,該物質の本態並びにその成因について,全身性アミロイド症および実験的アミロイド症のそれと比較しつつ文献的考察を試みたい。
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