特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
2.高齢者の平衡障害
①老人性平衡障害
田口 喜一郎
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.39-44
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902695
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はじめに
老人を何歳からとするか議論の多いところであるが,一応65歳の高齢者を意味するとして,この年代にどのような平衡障害が起こり得るか考えてみたい。
一般に高齢者は運動機能が低下し,歩行時にわずか数センチの敷居や障害物に躓いたり転倒しやすくなり,転倒による大腿骨骨折のような傷害はその後のQOLに重篤な影響をもたらすことになる。21世紀には,日本人は4人に1人,若い移民により比較的若年者の多いカナダでも21%を65歳以上の高齢者が占めるようになると予測されているので,この年代の人々が健康で豊かな人生を営めるか否かは,世界的に医学の重大な関心事になりつつある。したがって老人性平衡障害に関心をもち,その予防,治療およびリハビリテーションについて研究を進める必要性を強く感じる。
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