トピックス 心身医学と耳鼻咽喉科
3.耳鳴
小川 郁
1
,
新田 清一
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.823-827
発行日 2001年11月20日
Published Date 2001/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902443
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はじめに
近年,様々な疾患がストレスなど心身医学との関連で論じられている。耳鼻咽喉科領域でもメニエール病を初めとするめまい疾患や咽喉頭異常感症などが心身医学的アプローチを要する疾患と考えられている1)。一方,耳鳴は単一の疾患ではなく,様々な耳疾患により生じる症状であるが,やはり心身医学と密接な関係がある2,3)。近年,耳鳴を主訴に医療機関を受診する症例が増加しているが,その理由の1つはいわゆる高齢化による難聴の増加であり,もう1つが生活環境の変化に起因するストレスと考えられる4)。
また耳鳴は,いまだ他覚的検査法や根治的治療法が確立されていないことから,とかく多忙な臨床現場では敬遠されがちな症状であるが,このような治療者側の対応は耳鳴患者の不信感を増大させてきた要因でもある。しかし,根治的治療法がない現状でも,心身医学的アプローチにより耳鳴の苦痛度を軽減することは可能であり,耳鳴に関与する心身医学的要因を理解することはその診療を行ううえで極めて重要である。
本稿では心身医学からみた耳鳴について,特に今回はストレスと耳鳴との関係を中心に述べる。
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