連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ【新連載】
①耳鼻咽喉科診療と少子化
金子 豊
1
,
植田 尚男
2
1金子耳鼻咽喉科
2植田耳鼻咽喉科
pp.718-724
発行日 1999年9月20日
Published Date 1999/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902052
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I.少子化問題
世界総人口は近年爆発的に増加し,1975年には40億人,1999年には60億人,2025年には80億人になると推定されている。この人口増加が進行すれば,発展途上国の貧困,環境破壊,食糧,エネルギーの枯渇化など地球規模の問題へ発展すると考えられている。この増加要因は世界人口の2/3を占める発展途上国の人口増加によるものであるが,先進諸国では1965年以降むしろ増加率は減少し続けている。わが国で少子化が社会的に話題になったのは,合計特殊出生率が丙午1966年(昭和41年)の1.58を下回って1989年(平成元年)に1.57になった頃からといわれている。そもそも合計特殊出生率(出生率)とは1人の女性が一生の間に産む平均の子供の数を意味するが,この数値がわが国では2.08以上でないと人口は減少に向うことになる。この人口維持水準2.08を割り始めたのは1974年(昭和49年)であるが,その後連続して出生率は減少し1997年(平成9年)では1.39まで下降している(図1)。
年少人口は出生率が低下しているので減少しつつある(表1)。1975年には2,722万人,1995年には2,001万人であったがなお減少し続け,1997年には増加を続ける老年人口とともに全人口の15%(年少1,940万 老年1,974万)となり,その後,年少人口は老年人口と逆転減少を続け,2050年には1,314万人になり1975年の1/2以下になる(図2)。
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