鏡下咡語
耳つれづれ
太田 文彦
1
1近畿大学
pp.988-989
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901043
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「つれづれなるままに,日くらし,ワープロにむかひて,心に移りゆくよしなしごとを,そこはかとなく打ちつくれば,あやしうこそものぐるほしけれ」。御存じ『徒然草』の序段のパロディーである。退職してからは1,2の仕事を除いてまったくこのとおりの生活で,暇があるとワープロに向かって何やらキーを叩いている。たしかに「あやしうこそものぐるほしけれ」である。長年親しんできた「耳」について今までに書き散らして来た雑藻をかき集めて責を果たすことにする。
われわれ耳鼻咽喉科医は「耳」といえば,聴覚を司る器官を総称する言葉としてか,あるいは耳介のみを表す言葉として受けとっている。もともと「耳」の字は耳の形にかたどった象形文字である。
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