トピックス 耳鼻咽喉科領域の真菌症—診断と治療
5.咽頭・喉頭の真菌症
林 泰弘
1
1和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科
pp.799-801
発行日 1994年9月20日
Published Date 1994/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900983
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
咽頭・喉頭は生理学的に真菌が存在する部位であるが,健康生体においては病原性を発揮することは少ない。当領域の真菌症は,広域抗生物質,副腎皮質ステロイド剤,抗癌剤,免疫抑制剤の汎用,あるいは悪性腫瘍,血液疾患,糖尿病などにおける菌交代現象や抵抗力低下により真菌が異常増殖することにより発症する。真菌症は表在性と深在性に大別されるが,当領域では通常表在性である。
健常人の真菌フローラは口腔,咽頭では約80%がCandidaであり,その他AspergillusやPenicilliumなどが認められる。そのため発症病因菌としてもほとんどがCandidaであり,稀にAspergillusもみられるが,その他の真菌で症状を発現することはほとんどない。
喉頭に真菌症が発症することは極めて稀であり,口腔・咽頭病変に併発した症例を含めても非常に少ない。しかし喉頭真菌症は咽頭に比較し,やや予後不良であり注意が必要である。
本項ではカンジダ症について,日常診療上重要と思われる症状,診断,治療の要点を述べる。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.