トピックス 耳鼻咽喉頭頸部領域の自己免疫疾患—最近の知見
慢性甲状腺炎(橋本病)
江浦 正郎
1
1熊本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.217-221
発行日 1993年3月20日
Published Date 1993/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900693
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はじめに
橋本病はバセドウ病とともに自己免疫性甲状腺疾患として知られ,その主要自己抗原はチログロブリン(thyroglobulin),甲腺ミクロソーム抗原である。甲状腺ミクロソーム抗原の主要抗原は甲状腺ペルオキシダーゼ(thyroid peroxidase)であることが判明し,分子生物学的アプローチによりチログロブリンとともにそのアミノ酸配列が確定され,抗チログロブリン抗体,抗甲状腺ベルオキシダーゼ抗体の認識する抗原決定基(エピトープ)が解明されつつある。またトランスジェニックマウスを用いた実験による免疫学的自己寛容の成立機序の解明がすすむとともに,臓器特異的自己免疫疾患のひとつである橋本病の病因についても新しい仮説がとなえられている。本稿では橋本病の病因,自己抗原および自己抗体,橋本病とmajorhistocompatibility complex (MHC) class IIとの関連性などを中心に最近の知見を紹介したい。
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