トピックス 耳鼻咽喉頭頸部領域の自己免疫疾患—最近の知見
内耳自己免疫疾患
茂木 五郎
1
1大分医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.209-215
発行日 1993年3月20日
Published Date 1993/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900692
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はじめに
ヒト内耳は硬い側頭骨の中にあり,外界との間には中耳が介在するので,中耳に異常または障害がない限り,直接外来刺激を受けることはない。内耳各部分には内リンパ嚢を除いて免疫担当細胞は見当たらず,また所属リンパ節や輸出入リンパ管を欠いている。内耳は長いこと免疫学的研究の対象外におかれていたが,近年ようやく研究が着手されて,その免疫機構が解明されつつある。これまでの知見を要約すれば,1)内耳は免疫学的には潜在性臓器であるが,抗原刺激を受ければ局所で抗体産生がなされる,2)外リンパ液の免疫グロブリンは脳脊髄液に依存しない,3)内リンパ嚢は内耳で唯一免疫担当細胞のあるところで,内耳免疫応答の中心的存在といえる1-3)。
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