特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
15.咽頭痛
原田 宏一
1
1北里研究所メディカルセンター病院耳鼻咽喉科
pp.59-62
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900378
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咽頭痛は日常臨床でしばしば遭遇する症状のひとつであり,ともすれば咽頭炎や扁桃炎の病名で盲目的治療を施されることがある.確かに咽頭痛を主訴とする疾患の多くは炎症性疾患であるため抗生剤や消炎剤の投与により症状の改善を得ることが多く,原因追及を行うことなく安易な投薬が重大な疾患の見過しにつながることとなる.特に扁桃,咽頭の腫瘍や結核,梅毒等の特殊炎症性疾患は鑑別すべきものとして常に考えておく必要がある.
咽頭痛は咽頭部における自発痛であるが,多くの場合嚥下運動によって疼痛は増強する.また病巣部位によって耳や喉頭に放散する痛みを伴う場合があり,咽頭痛をきたす疾患を診断するにあたって,痛みの経過,部位,性質,随伴症状の有無などの問診は重要である.また糖尿病等の基礎疾患の有無も必ず聞いておく必要がある.
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