トピックス ダニとアレルギー
ダニと喘息
湯川 龍雄
1
,
牧野 荘平
1
1獨協医科大学アレルギー内科
pp.305-312
発行日 1990年4月20日
Published Date 1990/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
気管支喘息は,発作性の呼吸困難と喘鳴を示す疾患で,American Thoracic Society (ATS)による定義“喘息とは種々の刺激に対して気管および気管支の反応性が亢進しており,気道系の広範な狭窄を特徴とし,その狭窄は自然に,また治療により改善される疾患である”1,2)にあるように,気道の過敏性という病因の上に可逆的な気道狭窄という機能的変化を基盤にしている。一方,多くの喘息患者は,何らかの吸入アレルゲンに対しIgE抗体を持つ頻度が高く,その吸入暴露により発作が誘発される典型的なアトピー性疾患と言える3)。何故,このように呼吸生理学的異常とアレルギー免疫学的異常が共存するのかは依然不明であるが,ダニが最も重要なアレルゲンの1つであり喘息の病態に深く関与していることは周知のとおりである。
本文は,これらの観点からダニと喘息の関係,取り分け喘息におけるダニの意義について最近の知見と当教室の臨床結果をまじえて簡便にまとめてみたい。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.